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2023.08.14
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日本は地震の多い国です。特に静岡県浜松市や湖西市など東海エリアでは南海トラフ大地震の被害も懸念されています。いつ来るか分からない地震ですが、注文住宅を建てるなら耐震性を高めて安心した暮らしをしたいものです。
そこで本記事では、住宅の耐震性能について解説。耐震性能のメリットやデメリットについても言及していきます。静岡県浜松市周辺の地震リスクについてもご紹介するので、参考にしてください。
【目次】
地震に強い家の特徴とは?
耐震性を備えた住宅とは?
耐震基準とは?
耐震等級とは?
耐震住宅の構造設計
耐震工法の種類と特徴
耐震性能を高めた住宅のメリット
耐震住宅のデメリット
静岡県浜松市周辺の地震による災害リスク
注文住宅で耐震性を備えて安心の暮らしを!
万が一、大きな揺れを伴う地震が来ても耐えられる「地震に強い家」とは、どのような特徴を持つのでしょうか。詳しく特徴を見ていきましょう。
地震に強い家の形状としては、正方形や長方形などが望まれます。地震が起きた際に6つの面に揺れを分散して吸収できるため、建物の倒壊が起きにくいためです。
一方で住居の下が駐車スペースとなっているビルトインガレージや、L字型の住宅など特徴的な形状では、揺れが一部分に集中しやすく、正方形や長方形の形状をした住宅よりも地震の揺れに弱い傾向にあります。
地震の揺れによるダメージの受け方は、建物の高さも関係します。注文住宅で言えば、3階建てよりも平屋のほうが耐震性に優れていると考えられます。
また、地震だけではなく台風による風の影響も受けにくいのもメリットです。
地震から受ける力は、建物の質量が重いほど大きく伝わりやすくなります。家の重さが軽いほど、地震から受けるダメージが少ないと考えられています。住宅建材では、鉄骨やコンクリートよりも木材の質量が軽く、質量の観点で相対的に地震に強いといえるでしょう。
注文住宅で耐震性を高める方法は建物そのものの強化だけではありません。住宅を建てる際の地盤が強固であることも重要です。注文住宅を建てる際には、事前に地盤のチェックをしておきましょう。
地震に強い家は、耐震性・免震性・制震性の3つの構造の強化が大きく関係します。各構造の特徴については後述していきます。
地震に強い家の特徴として挙げられる「耐震」について解説していきましょう。耐震性能を備えた住宅とは、地震の揺れに耐えられる強さがある家のことです。耐震構造の住宅は、家の質量を軽くする、耐力壁を使用するなど、地震の揺れに耐えられる構造材や建材で建てられているのが特徴です。
「免震」の構造の住宅は、建物と地盤の間に免震装置を施して建てられています。建物と地盤の間の部材が地震の揺れを吸収してくれるため、建物は揺れの影響を受けにくくなります。
「制震」の構造をした住宅も、地震の揺れを吸収する仕組みです。制震構造の場合は、建物内部に揺れを吸収する部材が組み込まれているのが特徴。壁内の部材が揺れを吸収し、建物が受けるダメージも防止します。マンションで適用されることが多い構造ですが、戸建て住宅でも用いられる場合があります。
地震による住宅の倒壊で尊い命が奪われないために、建築のあり方を明確にした耐震基準が「建築基準法」内で明確に定められています。建築基準法では「およそ数100年に一度に起こると想定した大地震(震度6強~震度7)でも、建物の倒壊や損壊などが起こらない」ことを想定して耐震基準を設定しています。
建築基準法は何度か改正を重ねており、最新の建築基準法に則した建築が必須です。現在の耐震基準は「2000年基準」と呼ばれ、耐震性を上げるための耐力壁の配置や接合金物の種類などがより厳しく定められています。
耐震等級とは、地震に対する建物の強度を表す指標です。国が定めた「住宅性能表示制度」には耐震性や耐久性など10種類に及ぶ基準が設けられており、第三者の住宅性能評価機関によって等級の評価がなされます。
耐震性の等級に関しては、等級1~3にレベル分けされ、等級の数字が大きいほど耐震性が優位です。等級1は建築基準法に相当するレベル、等級2は等級1の1.25倍の耐震性能を持ちます。等級3は等級1の1.5倍の耐震性能があり、等級の中でも最高レベルです。なお、耐震等級3は、消防署や警察署など災害が起こった際に救護活動の基盤となる施設の耐震性能に相当します。
耐震住宅には柱や梁など骨組みの設計となる構造設計が関係します。さらに、構造の強度を明確にするために適した計算方法で数値を出し、目標とする耐震等級を目指します。
住宅構造の強度を示す計算方法について3つの方法をお伝えしましょう。
壁量計算は、2階建て以下の木造建築物に認められている簡易的な計算方法です。建物にかかる地震の力や台風の風圧などに耐えられる壁の量であるかを調べる計算方法となります。建物の重さを細やかに拾ったり、重さや硬さのバランスを検討することはなく、ごく簡易的なチェックに留まります。木造2階建て以下の住宅の多くは、壁量計算で建てられているのが現状ですが、壁量計算では耐震等級3の取得は不可能です。
性能表示計算は壁量計算にいくつかのチェック項目を追加した方法です。壁量計算と同様、あくまでも簡易的な構造チェック方法と言えます。
許容応力度計算は、耐震等級2および3を目指す場合に適用される計算方法で、構造計算とも呼びます。壁量計算、性能表示計算よりも緻密な計算方法です。柱や壁などの建材が地震の揺れや強風などにどれぐらい耐えられる強さがあるのかを算出します。
3階建て以上の建物には必須の計算方法で、消防署や警察署などの災害時の拠点となる施設の計算方法も許容応力度計算です。
2階建ての木造の一戸建て住宅の場合、許容応力度計算の活用は義務ではありません。しかし、地震に対してより強い家づくりをするには、木造の一戸建て住宅でも構造計算を用いて耐震等級3を取得することが望ましいと言えるでしょう。
地震に強い家づくりのための工法には、いくつかの種類があります。木造住宅の場合について、それぞれ特徴をご紹介しましょう。
木造軸組工法は、日本の木造住宅に多く用いられる工法です。柱と梁など木の軸を接合して骨組みを構成しています。木造軸組工法において耐震性を高めるために、以下の方法を適用します。
筋交いや構造用合板などを使った壁を木材の軸組にバランスよく施工することで耐震性をもたらします。横から受ける地震の揺れに対して効力を発揮する工法です。
木造軸組工法では、木材同士を接合する箇所を金物で補強するのが基本です。地震の衝撃によって金物が破損し、接合部分が損壊しないように強固にすることが求められています。
2×4(ツーバイフォー)工法とも呼ばれる工法です。2×4インチの建材でフレームを創り、フレームに沿って合板を貼り合わせパネルにします。6面体をつくることにより、地震の力を分散させ、住宅の破損や崩壊を防ぐ仕組みです。
ここまでに耐震性能を持つ住宅の重要性について解説してきました。では、耐震性能を備えた住宅の費用や機能に関するメリットを免震、制震と比較しつつ解説していきましょう。
耐震住宅は住宅の一部分に耐震構造を用います。免震構造や制振構造と比較すると、低価格で済むケースが多いでしょう。また、耐震構造にする工事は工期が短い点もメリットです。
耐震住宅は設計の自由度が高い点も魅力です。免震構造の場合は地下室の設置ができませんが、耐震構造では耐震性をもたせつつ地下室の設置も可能です。
耐震住宅は、水平の力に対して効力を発揮する構造です。そのため、地震の揺れにとどまらず、台風の強風による被害も軽減できるメリットがあります。
一方で、耐震住宅にもデメリットがあります。デメリットを把握したうえで耐震住宅の選択に役立てましょう。
耐震住宅は、文字通り地震の揺れに耐えられる家です。地震の揺れが吸収されるわけではないため、住居内にいる人は大きな揺れを感じます。揺れによる転倒やケガなどに注意が必要です。
地震の揺れが直接伝わるため、家具の転倒や照明器具の落下などが起きる危険性があります。家具が転倒し、人が下敷きになってしまうという二次被害の恐れがあるため、住宅内の地震対策は徹底しておくと安心です。
耐震住宅は揺れ自体を吸収できないため、揺れによって住宅に損傷が起きる恐れがあります。ひび割れが起きた場合、ひび割れ箇所から劣化が進むリスクもあるのです。
静岡県浜松市をはじめ湖西市、さらに隣接する愛知県豊橋市における地震による被害リスクをお伝えしましょう。
東海から四国にかけての駿河・南海トラフ海域では、約100年~150年のサイクルで大地震が起きています。1944年の東南海地震や1946年の南海地震もその一例です。さらに、静岡県周辺は駿河・南海トラフに加え、伊豆半島の東側に位置する相模トラフの影響を受ける恐れもあります。相模トラフでも約200~400年のサイクルで地震が発生しているため、注意が必要です。
現在、静岡県浜松市周辺では、東海地震や東南海地震などこれまでに発生したことがあるレベルの地震(レベル1)と、まだ発生していないが非常に大きいクラスの地震(レベル2)について被害が想定されています。静岡県では、レベル1の場合に起きる建物全壊や焼失は約260,000棟、レベル2では約300,000棟との想定です。地震の被害想定をふまえ、住宅の耐震性の強化はますます必須となるでしょう。
静岡県浜松市や湖西市、愛知県豊橋市は、今後、東海地震レベルをはじめ南海トラフ大地震による被害が想定されるエリアです。このエリアで注文住宅を建てたいと思われている方の不安を払拭し、安心して暮らしていただくために、エスコネクトでは耐震性を重視し、住宅の構造設計は、許容応力度計算で行い、耐震等級は最高ランクの等級3を取得しています。地震力はもちろん、風圧力の強度も確保。その他、構造専門の建築士が緻密な耐震性チェックを行い、安心してお住まいいただける住宅を実現しています。
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記事監修者:一級建築士 高地 可奈子
工学部建築学科卒業・大学院修了後、建築設計事務所勤務。建築設計事務所では、建築意匠設計、木造構造設計に携わる。その後大手経営コンサルティング会社を経て、現在は設計経験を活かしつつ、商品磨き、新メニューやツールの開発、研修などを通して工務店支援を行っています。
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